LINEに届いた質問に、「どないしよう!」と返したら「京都にまだいるな」と言われた、そうかも。こないだ京都でライブがあって、帰ってきて数日経つのだが、明らかに何かを引きずっている。まだ魂が帰ってきてない。
京都といえばやっぱり誠光社だが、今回は行かなかった。というかそういう感じでもなかったのだ。車で9時間かけてついたらすぐCLUB METRO1で夕方から明け方まで2回ステージがあり、しかも対バンの日髙春野さん2に「熊野寮で24時間盆踊りをやっている」と教えてもらい、これは行かずにはおれない。
一つ目のステージが終わって(すでに22時をすぎていた)、ちょっと休憩してから歩いたらMETROから5分もかからなった。京都住みの同行者は「METROと熊野寮ハシゴなんて京都すぎる!!!」と嬉しいのか悔しいのかよくわからないことを言っていた。盆踊り会場を見つけるにはまったく苦労しない、入り口のすぐそばに櫓が建っていてデッカい立て看に理念がペンキで書かれ。
櫓のそばでギョサンの行商があって、さすがに騒がずにはいられなかった。知らん人たちがワラワラと集まってきて、やれ透明がいいだの蛍光がいいだの、まずはサイズ決めてからよ、よし、これくださいと蛍光黄緑のギョサンを買った。ギョサン欲しかったから嬉しい。
画面の向こうに見知っていた共同生活空間がはじまり、壁一面に積もり積もった主張が貼られている。誰も統率するわけではないが互いのことを考えて暮らす。必要を満たすのはサービスではなく、おのずからやるということ。もちろん僕が踏み入れたのはふだんの熊野寮とは違うだろうが、その壮大な実験の一部を垣間見た気がする。
奥に進むとサイケな食堂があり、帳のおりた小上がりが中央で光っている。周囲にはパイプ椅子が天井まで幾何学的に積み重なっていて、そこにDJがいる。すぐ隣では酒やどて煮が100円で売っている。すると人がテクノに合わせて炭坑節を踊っているではないか!知ってるぞ!京都でも炭坑節いけるか!
みんなでしばらく炭坑節をやり、疲れたので外の小屋で酒を買っておしゃべりした。ちょっと声が大きくなって怒られたりしつつ、深夜の2ステージ目が始まるまで楽しんだ。
そんなこんなで2ステージも終え、METROでどこからか流れてくるショットをカッと飲み適当にブチ上がり、また熊野寮に行って盆踊るということを2往復くらいやっていたら3時をすぎており、みんなで5時まで遊ぼうぜと意気込んでいたのにここで限界を迎え宿へ戻る。トボトボ。ごめんなさい。
翌日はこれまた日髙さんに教えてもらったカリルというカレー屋さん(「ここははっぴいえんどの、えーっと誰だっけ、誰かが行きつけなんです」と日髙さんの弁。)に行き、大盛りのポークカレーを食らう。漬物が好きなだけ食べれて嬉しい!だいたいカレー屋さんってこだわり店主と少ないカウンター席というのが相場だけど、ここはスタッフさん多くて回転早くて助かる。
カレーをかき込んでいる頃、我がバンドの筆頭岩崎桃子がラジオに生出演していたので聴きながら食べていたら、「バンドメンバーは今頃ご飯食べてると思うんですけど」と言っていてちょっと不思議な気分になった。
午後は念願の民族楽器コイズミに行って、知識だけはあった珍しい楽器をいくつか試させてもらい、各々気になったものを購入、帰路につく。
帰ってきたら翌日までちょっと疲れを引きずる。ダメだとわかっているのに惰性でSNSを開くと、クソみたいな言葉ばかりがネット上に転がっていて、本を開いたら何でもかんでも美文でおどろいた。書き出しがすばらしい。本のタイトルと書き出しだけでどんどん気持ちよくなれる。
そう遠くはない昔、本は金属の活字(ほっそい印鑑みたいなやつ)を1文字ずつ配置し、薄い板を挟んだりして字間と圧力を調整して版をつくって印刷していた。1ページずつ。そこらへんの話はぜんぶ、大牟田 桜栄活版堂のよしたかさんから教えてもらった。
版を組む、というのだけど、組むだけで大変だし、印刷機にセットして適切に操作することも難しい。桜栄活版堂でZINEの印刷をお願いした時は部分的にその作業をやらせてもらった。ペライチなのにとんでもない時間がかかり、徹夜したこともあった。
そういうとんでもない時間と手間がかかったものが印刷物の本来的なあり方だったのだと思うと、指先でペッと投稿できるものがさほど良い内容になるわけがない理由もわかる。書き手が1文字書くたびに、文選工が活字を探し配置する手間が一つ増える。そういう苦労を超える適切な熱量が本には込められていると考えると、出版業界が多少古めかしい価値観をもっているのもさもありなんと思う。というかある意味ではそのままでいてほしい。
地下鉄から階段の踊り場に出入り口があるというなんとも珍な名クラブ。だからなのか電車が終わっても階段のシャッターが降りない。ネーミングもそこからきてるが、なんとなくイギリスの風を感じる。外国人もいっぱいきてた。
今年のFUJIROCK ルーキーで別日ながら一緒になり、たいへん素晴らしい弾き語りだなと思った。早くも今年のマイベストEP候補。こうして京都で対バンできたのがとても嬉しい〜




